貧困児童の実態

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貧困児童の現状

「子どもの貧困」をご存じですか?

なかなか実感する機会がありませんよね。見た目では分かりませんから。しかし貧困児童は増えています。

日本で暮らす子どもたちの、6~7人に1人が「相対的貧困」とされています。相対的貧困とは、その国や社会で享受できている平均的な生活水準を送れない状態を指します。

目安は、等価可処分所得の中央値の半分(=貧困線)以下です。親子2人の場合、毎月約14万円以下で暮らしている状況です。

2021年、厚生労働省が発表した国民生活基礎調査によると、世帯収入200万円未満が18.5%、300万円未満が31.8%とされています。相対的な貧困児童数は15.7%(2018)、およそ300万人いると推計されます。

国民生活基礎調査(厚生労働省)

なぜ今の日本で?

なぜ、高度先進国の日本で、これほど多くの子どもたちが貧困状態で暮らさなくてはならないのでしょうか。貧困はさまざまな問題が重なっていますが、ここでは大きく2つの点から考えてみましょう。

低所得層の拡大

1つは、子どもと一緒に暮らす大人の所得が低い、ということです。

子どもがいる世帯の中でも、ひとり親世帯の貧困率は48.1%(2018年)と非常に高い状態にありますが、2015年の母子世帯の保護者の就業率は80.8%、父子世帯も88.1%と、多くの保護者は働いています。しかし非正規職が多く、就労所得が低く抑えられています。

そのような場合には、生活を支える社会保障制度がありますが、日本のこの制度は脆弱であると言われています。OECD加盟国と比べても、所得の再分配が実態と合っていないことは、以前から指摘されています。

教育費が大きな負担に

もう1つは、子どもが育ち・学ぶためにかかるお金が家計を圧迫している現状です。

文部科学省の調査によれば、2018年に子ども1人にかかった学習費は、公立小学校に通っている場合で32万1,281円、公立中学校で48万8,397円でした。無償であるはずの義務教育においても、給食費や通学関連費、学用品費などの多くを各家庭・個人が支払わなくてはなりません。

この他、住宅手当や公営住宅など住まいの支援策が乏しいこと、子どもの医療費助成が多くの自治体で15歳までに制限されていることで、教育・住居・医療といった必要支出における私費負担が大きくなっています。

スポーツ関連費がカット

このような状態で、出費に対する優先順位が低くなるのが「スポーツ関連費」です。同じ親として子供たちにスポーツをやらせてあげたい気持ちは一緒です。しかし経済的理由から断念せざるを得ないのが現状です。

充分にスポーツをやらせられない世帯は貧困児童以上に多く、4~5人に1人と推測されます。